山歩きを楽しく始める為に知っておこう、『道に迷う原因と迷った時の対処方法』
山道はよく整備されているし登山者も多いし、道に迷うことなんてない。
迷うような山には行かないから大丈夫、なんて思いますよね。
実際私もそう思っていましたが、道標ひとつ見逃しただけで迷った経験があります。
そうなんです、低山でも突然道に迷い事故や遭難に繋がる事例が後を絶たないんです。
ではこうした山の中での道迷いは、なぜ起こるのでしょうか。
迷った時はどのように対処すれば良いのでしょうか。
ということで、道迷いの原因と対処方法についてまとめました。
道に迷う原因は何か
警察庁令和2年度の統計では、山岳遭難者の44%は道迷いが占めています。
迷った時にどうするか
落石や転落のように突然起こる遭難とは違い、『あれっ、おかしいぞ』と不審に思いながら進み続け、ある時点で気づくのが道迷い。
迷ったときには不安でパニックを起こしがちです。
まずは冷静な判断ができるように落ち着くことが大切です。
道に迷ったときの対処方法
①気持ちを落ち着かせる為に、水分補給や行動食を食べ、一息つく、焦らない。
②冷静になったら、地図・コンパス・GPSなどで、現在地と方向を確認する。
③現在地がわかったとしても無理に進まず、来た道をわかるところまで引き返す。
④やぶなどに入り込み、引き返す道すらわからない場合は、できる限り安全なルートを探りながら、登山道の多い尾根へ向かってのぼる。
⑤尾根に登りながら、高台や見晴らしの良い場所でさらに地図を確認する。
⑥深刻な道迷いで日が暮れてきたら、その場に留まり体力の温存を優先させる。
道に迷ったらやってはいけないこと
①もう少しだけ、あと少しだけ行ってみようと考えて、進みつづける。
↓
進み続けた分だけ、引き返す選択もしづらくなる。
②方向があっているのだから目的地に着くはず、と思って進み続ける。
↓
状況はさらに悪化する場合がある。
③体力的に下る方が楽だからと判断し、不用意に沢の方へ下る。
↓
樹林内の沢では視界も悪く、携帯電話もつながりにくい
沢付近では登山道を見つけにくく、遭難時の発見も遅れる。
迷わない為に、山道にある目印の種類と意味を覚えよう
山歩きをしていると、赤いリボンのような物が樹木にくくり付けてあったり、小石がピラミッドのように高く積まれているのを見ると思います。
あのリボンや石積みは、山道を迷わす進めるように道案内をしてくれる目印なんです。
このほかに山の中にはたくさんの目印があり、登山者の道迷いを防ぎ正しいルートを教えてくれています。
道標(指導標)
具体的な地名・山名の方向を示す標識を道標(どうひょう・みちしるべ)と言いその距離や
所要時間などが書かれているものもある。
主に分岐点などに多く設置されていているが、設置の無い分岐や劣化して文字の見えないもの、傾いてしまっているものなどもある為、不明な場合ば地図での確認が必要。
石積(ケルン)
人工的につくられたピラミッド型の石積み、目印の無い広い稜線や沢などでの道標となり、霧で視界不良の場合はこれつたいに歩いていく。
登山者の慰霊の為に山頂や登山道に作られているものもある。
赤布・テープ
樹木に巻き付けられた赤いテープ、多くの場合はコースに沿って取付られています。
林業での樹木伐採の目印や、釣り人が沢へのアクセス用に着けているもの等もあり、見分けが必要になる。
マーキング
岩場などにペンキでつけられた印、進む方向を示す矢印や正しいルートを示す〇印等。
間違えやすいルートには×印が書かれているので、そちらには進まないようにする。
その他目印
鉈目(なため)
樹林帯の中で木の幹に鉈で切れ目を入れ、進む方向等の印がつけてある。
巻き道(まきみち)
頂上や小ピークを通らずに迂回して進むルート、又通過が困難な部分での迂回道のしるし。
ルートファインディングとは
ルートファインディングとは、山道において正しい道を発見し選定する技術です。
地図・コンパスを使いルートを選び、迷いかけた時には一度立ち止まり、目印や踏跡から正しいルートを探す。
数m先の地形を見ながら歩くき、なるべく足場の良いところを選択する。
足元では次の1歩をどこへおくかの判断をする。
これらのすべてがルートファインディングです。
道に迷わずケガをしないために、このルートファインディングはとても重要です。
これには地図読み技術のほか、大きな視点でコース全体を把握できる力、多くの経験が必要になってきます。
まとめ
少しの気の緩みやが、道迷いを起こすきっかけとなっています。
登りと下りで見える景色の違う山道では、歩くことに集中しすぎない。
分岐点などで一度振り返り周囲の景色を確認しながら進んでいく。
万が一の為に、前もってコースを把握し、最低限の地図読みを覚えておくこと。
そして、それらを反映させた登山計画書を事前に提出してから山に入る。
山歩きを楽しく長く続けていく為にも、これらを一つ一つ実践していきたいです。